「カメラがついていない」——それが、このスマートグラスを選んだ一番の理由だった。
スマートグラスを検討しはじめたとき、多くの製品にカメラが搭載されていることに引っかかった。便利なのは分かる。でも、情報セキュリティを仕事にしている立場からすると、カメラ付きのデバイスを顔にかけて打ち合わせに出るのは、どうしても抵抗がある。相手にとっても、自分にとっても。
Even G2を選んだのは、そこが解決されていたからだ。カメラがない。そして見た目がスマートで、普通のメガネとして通用する。この2点が決め手になった。
この記事で分かることは、次のとおり。
- カメラなしのスマートグラスを選ぶという判断について
- 長時間かけたときの装着感と、外での見た目
- 緑色の文字表示が実際どう見えるか
- テレプロンプターと会話サポートの実用性
- 音声認識の精度と、思考の整理に使うという発想
- 使ってみて気になった点
カメラがないことを、あえて選んだ
スマートグラスの多くはカメラを搭載している。写真も撮れるし、映像を使ったAI機能も使える。機能としては明らかにプラスだ。
それでも僕がカメラなしを選んだのは、プライバシーの観点で気を遣いたくなかったからだ。カメラ付きのデバイスを装着したまま人と会うと、相手が「撮られているかもしれない」と感じる可能性がある。そう思わせてしまうこと自体が、打ち合わせの場では余計なノイズになる。
カメラがなければ、その心配は最初から発生しない。機能を1つ捨てる代わりに、気兼ねなく人前でかけられる。この交換は、僕にとっては割に合っていた。
ちなみに、写真を撮ること自体は好きだ。ただ、それは写真を撮るための道具に任せればいい。スマートグラスに求めているのは、撮ることではなく、情報を足すことだった。
長時間かけても違和感がない
装着感は良好だ。長時間かけていても違和感はなく、重さもそこまで感じない。
ただし条件がある。普段から軽量のメガネを常用している人は、多少の重さを感じるかもしれない。僕は伊達メガネをかけているので比較的スムーズに移行できたが、フレームの軽さにこだわってきた人には、最初は違いが分かると思う。
見た目については、外でかけていて問題になることはないと感じている。ぱっと見は普通のメガネだ。ただ、つるのエンド部分が特徴的な形状をしているので、近くで見た人が「何か普通と違う」と気づく可能性はある。それを違和感と受け取るかどうかは、人によるだろう。

緑色の文字は、どこに見えるのか
スマートグラスの表示について、レビューを読んでも「実際どう見えるのか」が一番分かりにくい部分だと思う。体感を言葉にしてみる。
緑色の文字が、視界の40センチから1メートルくらいの範囲に浮かんでいるように見える。目の前に貼り付いているのでもなく、遠くに投影されているのでもない。ちょうど手を伸ばした先くらいの距離感だ。
文字の視認性は問題ない。読みにくくて目を凝らすような場面はなかった。
度入りレンズについては、購入経路で対応が変わるようだ。家電量販店で購入した場合は度入りへの変更ができず、Even G2を取り扱っている眼鏡店であれば変更が可能とのこと。視力矯正が必要な人は、購入前にどこで買うかを確認しておいた方がいい。僕は普段が伊達メガネなので、今回は度なしのまま使っている。
テレプロンプターと会話サポートに使っている
実際の用途は、主に2つに落ち着いた。
テレプロンプターとしての利用。話す内容を視界に表示させておけるので、手元の紙やスマホに視線を落とさずに済む。人前で話す場面では、この差は大きい。
もう1つが会話サポートだ。会話中に必要な情報を視界に出せるので、話の流れを止めずに確認ができる。
どちらも「手が塞がらない」「視線を外さない」という、スマートグラスならではの利点が効く使い方だ。
音声認識の精度が、想定より高い
使っていて驚いたのが、音声認識の精度だ。かなり高い。
この精度に気づいてから、少し変わった使い方をするようになった。会話サポートの機能を使って、自分が考えていることを声に出し、それを文字起こしして要約させるという使い方だ。
頭の中でぐるぐる回っているだけの考えは、なかなか形にならない。それを声に出すと文字になり、要約されて返ってくる。歩きながらでも、手を動かさずに思考を整理できる。
ただし断っておくと、これが公式に想定された使い方なのかは分からない。本来は会話を補助するための機能なので、僕の使い方は少し外れているかもしれない。それでも実用上は十分に機能している。
気になった点は3つある
べた褒めで終わらせないために、使っていて気になった点も書いておく。
ニュース記事の表示タイミングがリアルタイムではない。更新のタイミングにラグがあるので、最新情報をすぐ知りたいときには少しストレスを感じる。
つるのエンドでの操作より、スマホで操作する方が違和感がない。グラス側で操作できるのは便利なはずなのだが、実際に使ってみると、慣れているスマホで操作した方が自然だった。ここは想定と違った部分だ。
そして常駐AIの使い勝手が期待に届かなかった。普段ClaudeやChatGPTを使っているせいもあるが、求めていた回答が返ってこないと感じる場面が多い。AI機能を主目的に買うなら、この点は事前に確認した方がいい。
一方で、バッテリー持ちは想定以上に良かった。メガネケースで充電できる仕組みなので、外して休ませるタイミングがそのまま充電時間になる。運用の中でバッテリー切れを意識する場面がほとんどない。
ウォーキング中に、歩きながら指示を出す
普段は伊達メガネをかけていて、G2を使うのはウォーキングと打ち合わせのときだ。
特に気に入っているのが、ウォーキング中の使い方だ。G2からClaude Codeを操作できるようにしてあるので、歩きながら音声で指示を出せる。手も視線も自由なまま、頭の中にあることを形にしていける。移動時間が、そのまま作業時間になる感覚だ。
この使い方については設定の話も長くなるので、次回の記事で詳しく書きたい。
「カメラがない」ことに価値を感じる人へ
Even G2は、機能の多さで選ぶデバイスではない。常駐AIには不満があるし、操作性も完璧ではない。
それでも、カメラがないという一点に価値を感じる人には、有力な選択肢になる。人前でかけても気を遣わせない。普通のメガネとして通用する。そのうえで、テレプロンプターや会話サポートといった実用的な機能は十分に使える。
スマートグラスに何を求めるかで評価は変わる。撮影やAI体験を求めるなら別の製品を検討した方がいい。でも「日常にさりげなく情報を足す道具」を探しているなら、一度見てみる価値はあると思う。
まずは自分がスマートグラスに何を求めているのか——カメラが必要なのかどうかを整理してみることを勧めたい。そこがはっきりすれば、選ぶべき製品は自然に絞られる。
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